ちゅう

トゥルーマン・ショーのちゅうのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.8
何これ、すごく怖いんですけど😢

ジムキャリーだからコメディだろうと思って観たんですけど、コメディの皮を被ったホラーだった。

ジムキャリーだし、コメディだから重くないし、なんなら爽快な終わり方にも見える。
見えるんだけど、僕にはそうは受け取れなかった。


正直、登場人物のほとんど全てが醜悪なんですよ。主人公のトゥルーマンとヒロインのシルヴィアぐらいがまともなだけで。

プロデューサーのクリストフはわかりやすく狂人なんだけど、トゥルーマンの周りで演じてる人たちも狂ってる。

メリルなんてトゥルーマンの妻としてずっと一緒にいるのに毛嫌いしてて、恐ろしいほどの作り笑いを繰り返す。
親友のマーロンは嘘をついた後に、7歳から一緒にいる俺を信じてくれと平然と言い放つ。

愛がゼロなんです。

誰も本心でトゥルーマンと向き合っていない。

世界的スターなのに、トゥルーマンを"人"として愛している登場人物はシルヴィアのみ。
望まれていない子供だったのにいまだにほとんど誰にも愛されていない。

見世物としての価値しかない。

本当に憐れだ。トゥルーマンという名前が皮肉でしかない。

そのトゥルーマンの偽物の人生を観ている視聴者も醜悪で、本当に苦しんでいるトゥルーマンの姿を楽しんでいる。

最後のトゥルーマンの選択に歓喜するんだけど、番組が終了した瞬間、もう興味を失っている。

しかも本当にゾッとしたのは、その醜悪な視聴者と自分が実はイコールの存在であるのに、そのことに気づかずにその醜悪な視聴者を軽蔑しながら観ている自分が、醜悪としか言えないところなんです。

醜悪なトゥルーマンショーを観てる醜悪な視聴者を観てる醜悪な自分という構造になってるんですよ。

恐ろしい...

なんという閉塞感...

ほんともう勘弁してください😭
ちゅう

ちゅう