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無防備都市のよのネタバレレビュー・内容・結末

無防備都市(1945年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ゲシュタポに連れ去られる婚約相手を追いかけるピーナが撃たれ、地面に倒れ込む。ピーナの疾走を継承するかの如く息子が駆け寄り、母の亡骸を抱えて泣く。これを諌め、その場を離れるように促す神父。第一部ラストのこの流れるような悲哀と運動の連鎖がとてつもなく重い。

視線誘導的にはいささか不自然な繋ぎが第一部では見られるが(画面右にフレームアウトした人物が次のカットでは左からフレームインする等。逆も然り。)、基本的には文法通りに作ってるような印象を受けて、ネオレアリズモの特性であるドキュメンタリー的な要素はさほど強くないように思えた。子どもが螺旋階段を駆け上るシーンでのカメラワークや距離の近さ、または第一部ラストの俯瞰からのロングショットの冷徹さは劇映画的というよりは記録映像的かな、と思えなくもない。でも、全体的にはかなりドラマ仕立てだし、ちゃんと顔も切り返すし、クローズアップも使うしで、バザンが言うほどの写実的要素は感じられない。
よ