千年女優

ベッカムに恋しての千年女優のレビュー・感想・評価

ベッカムに恋して(2002年製作の映画)
3.5
ロンドンに暮らすインド系一家の次女で、結婚を決めた姉とは違ってサッカーにのめり込みベッカムに憧れるジェス。公園で男の子にも負けない足さばきを見込まれて町の女子サッカーチームに入団した彼女が、シク教の伝統を重んじる家族に隠れてチームメイトのジュールズや監督のジョーとサッカーに打ち込む様を描いた青春コメディです。

インド系英国人の女性監督で『カセットテープ・ダイアリーズ』らの青春劇を得意とするグリンダ・チャーダの代表作で、ベッカムの代名詞だった美しいカーブが特徴のキックをかけて少女が用意されたレールを自分の力で曲げる物語がヒットし、キーラ・ナイトレイが『パイレーツ・オブ・カリビアン』に抜擢されるきかっけにもなりました。

ジェンダーや宗教ら封建的な価値観からの脱却を描いた作品ですがそれを説教臭く全面に押し出すことはなく、家族とのドタバタやラブコメを交えながら監督のルーツでもあるインド映画が強みとする前向きな娯楽作に仕上げています。それ故に展開は予定調和なところはありますが、観客がこの設定で望むものに余すことなく応える一作です。
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