TakahisaHarada

リアリズムの宿のTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

リアリズムの宿(2003年製作の映画)
4.2
今泉さんが影響を受けた作品、衝撃を受けた作品(自分の作りたいものがもう存在していた)として方々で紹介していて気になっていた作品。

共通の知り合い不在なせいで初対面で旅行することになった男2人のロードムービー。
「本人たちは真剣なのに笑えるコメディ」(今泉さんもよく言ってるやつ)って感じでめちゃ笑った。1軒目の宿の主人の「日本語わかります?」、バンジージャンプ、あっちゃん登場シーン、童貞木下の質問攻めとか最高だったし、3人でバーに行ったシーンの異邦人は「お前が歌うんかい」の元祖かもしれない笑
終盤の喫茶店で出会ったお兄さんの家からボロ宿の流れも良かった。

山下監督は「ドラマ=気まずさ」だと言っていたらしく、その言葉通りカット尻まで使ってるかのような編集とか切り替わった引きの画で気まずさの余韻に支配されるシーンが何度もあって笑える。

「本人たちは真剣なのに笑える」シーンの連続で笑わせてきて、最後の最後にボロ宿で寝るシーンでは本人たちも観てるこっちも笑える、という流れになるのが好きだった。
旅の果てに絆が生まれる展開も良かったし、ノスタルジックな田舎の風景多めなのも良い。

「皆が大きな目的を持って頑張って生きてるわけじゃない、小さな目的を描きたい」
「映画が終わった後も登場人物たちに思いを馳せられるような作品を撮りたい、明確に終わりを設けない」
「観た人の感情が一つに決まる映画は撮りたくない」
「普段の会話で使わないセリフは極力書かない」
とか、今泉さんがよく言っている哲学的な部分と合致するところも多くて、色々な面で影響を受けたんだなあと作品を観て改めて納得。自分にとっても印象深い作品になった。