ガブXスカイウォーカー

沈黙の戦艦のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

沈黙の戦艦(1992年製作の映画)
4.0
J・F・ロートンをご存知だろうか?
恋愛コメディ『プリティ・ウーマン』(1990)の脚本でブレイクし、今作『沈黙の戦艦』(1992)で不動の地位(?)を築いた後は、日本を舞台にした忍者アクション映画『ハンテッド』(1995)、キアヌ・リーブス主演『チェーン・リアクション』(1996)、美女軍団大活躍の『DOA/デッド・オア・アライブ』(2006)、そしてパメラ・アンダーソン主演のお色気コメディアクションTVドラマ『V.I.P.』(1998~2002)など、どこか漫画っぽい登場人物たちのアクション作品を得意としてきた脚本家だ。
今作はJ・F・ロートンのその持ち味が存分に活かされており、登場人物たちは善も悪もみんな色んな意味でおかしい奴ばかりだ。

まず主人公ケイシー・ライバック兵曹はコック長、実は無能な上司をぶん殴って格下げされた歴戦の勇者と言う設定がいかしているじゃないか。これをスティーブン・セガールが頼もしくクールに演じる。テロリストに占拠されたUSSミズーリ号内を駆け回り、銃や格闘技、そして知恵を使って、次々と敵を倒していくのは『ランボー』(1982)や『ダイ・ハード』(1988)にも共通する痛快さだ。スティーブン・セガールにとって今作はブレイク作であり、最高傑作と言えよう。

敵はまさにステレオタイプだが、そのわかりやすさと、役者陣が実にいい。テロリストのリーダー、ウィリアム・ストラニクスは『JFK』(1991)でブレイク直後のトミー・リー・ジョーンズ、その片腕のドーマーのコルム・ミーニイは『新スター・トレック』(1987-1992)のオブライエン役で人気者になったばかり、軍の裏切り者クリル中佐のゲイリー・ビジーは粗雑で乱暴者な悪役が得意だ。どいつもこいつもいい切れっぷりだ。

ヒロイン、ジョーダン・テートのエリカ・エレニアックはあまり可愛くないけど、前半では足手まといだったのに後半では勇ましいところを見せてくれるのが魅力的だ。オッパイも拝ませてくれるぞ(先日のテレ東の放映ではカットされていたけど)。

中には「名作アクション映画の寄せ集めじゃねえか!」と言う声もあるが、今作は王道ゆえの面白さがある。脚本はあまり関係ないが、特撮においても、戦艦、戦闘機、ヘリ、潜水艦などの本物とミニチュアを巧みに使い分け、迫力あるバトルを展開してくれる。『沈黙の艦隊』は何回観ても楽しい。必ずスカッとさせてくれる傑作アクション映画なのだ。

もし機会があったら、他のJ・F・ロートンの脚本作品も観るのも一興であろう(無理してまで観ることはない)。