Inagaquilala

007 ロシアより愛をこめて/007 危機一発のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役を張った初期のシリーズのなかでは、自分的には最も好きな作品だ。同名の哀愁を帯びたテーマソングといい、ボンドガールを演じるダニエラ・ビアンキといい、舞台となるインスタンブール及びオリエント急行といい、自分としては強く印象に残っている。そして、この第2作目で、ようやくコネリー演じるボンドのキャラクターが確立されていると言ってもいいかもしれない。前作で見せた少し野卑な感じは、コネリーからすっかり薄れ、例のスタイリッシュで、危機に陥っても余裕綽々の振る舞いは、この作品から始まったと言ってもいいかもしれない。

これも、日本での公開当時(1964年4月、イギリスでの公開は1963年10月)は「007 危機一発」というタイトルだったが、マット・モンローの歌うテーマソングは「ロシアより愛をこめて」だった(1972年のリバイバル公開のときに、このタイトルになったという)。ボンド・ガールとしてもダニエラ・ビアンキは実にチャーミングで、その後にお決まりとなる水着のシーンはないが、知的な容貌のなかにも妙なセクシーさを醸し出している。前作に比べて、アクション面も強化されており、荒唐無稽な設定もなりを潜めており、リアルなスパイものとしてつくられている。いわばリアル007を代表する名作だと思っている。
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