今更観ていないと言いにくい映画が結構あるのですが今作を観ていなかったのをめちゃくちゃ後悔しました。
若い多感な頃に観ていたら生涯ベスト10に入っていたと思います。
ロバート・デ・ニーロが本当にキレッキレ。
人の話を自己中心的に解釈する誇大妄想癖のあるパプキンを笑って見ていられないのは誰しも大なり小なりパプキン的な物を持っているだろうから。
努力や挑戦も無く成功した自分だけを夢想する事はあるだろうし。
友達も恋人もおらず母親と同居しているパプキンが自室の書き割りの観客の前でトークするシーンは心底ゾッとする映画史に残る名シーン。
トラヴィスの鏡の前のシーンにも匹敵。
ラストが現実か妄想かという議論があるみたいですが、個人的には現実の方を推したいです。
大衆は芸ではなく有名人が見たいのだという皮肉なシーンにも本当は笑いを極めて観客を楽しませたいのではなく成功して皆から喝采されたいだけのパプキンがもう何も喋る事の無いようにも見えて好きです。
ジェリー・ルイス視点で見ると「ミザリー」的なホラーとしても怖かった。