jonajona

キング・オブ・コメディのjonajonaのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
5.0
【つきぬけろ、大嘘吐き】
マーティンスコセッシ作品の中でも特に気になっていながら、中々手が出せなかった一作。これ見ちゃうと有名どころは一通り終わっちゃうので…貧乏性でズルズルと。

しかし『ジョーカー』が出色の出来だったこともあり、関連深く話題になってるこのタイミングで鑑賞。

結論から言えばこのタイミングで見れてよかった〜最高やーー( ´∀`)でした笑

キングオブコメディというタイトルがいかにも皮肉めいていて、主人公のパプキンは完全にただのストーカーかつ妄想逞しいなんちゃってコメディアン。
家で憧れのテレビスターと共演するのを夢見てるばかり。
この辺はタクシードライバーと通じるあたりがありますが、こちらの方が露骨にそう行った最底辺の『ならず者』を弄んでる感じがしてなるほどコメディの域に達してました。

しかし、コメディであり笑いを題材にした(主に冷笑)映画ながら、この映画がほんとのほんとに伝えたいことって『簡単に笑うな』って事なんじゃないかなと。

ラストでパプキンの出自をネタにしたスタンダッぷコメディは、本当に彼が芸を磨いてきたことが明らかになると共に、ここまで何かに縋ってめちゃくちゃにしてでも『一夜の王』になりたいと思うほどに苦しんできた悲しみを顕にさせる。かつ、その叫びももしかしたらただの妄想、狂言なのかも知れないという余韻も残す…複雑な感情を与える終わり方。
最近あまり感じたことなかったけど、この映画こそ『ラスト10分のどんでん返し』って感じしました。
ほんとスコセッシ。ほんすこ。
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