Foufou

LOFT 完全なる嘘(トリック)のFoufouのレビュー・感想・評価

-
不倫は文化と喝破したのはどなたでしたっけ。ジャン=ジャック・ルソーでしたか。じっさいヨーロッパの文化はサロンで華開いたわけですが、このサロンというのが不倫の温床でございました。

浮気なんてされた側はたまったもんじゃないだろうし、バレたら身の破滅。その覚悟があるならどうぞってなもんでしょうか。四十も半ばあたりになると、男も顔が出来上がってくるわけですね。建築家に精神科医ですか。いずれもブルジョワ階級です。アウディやメルセデスくらいふつうに乗り回すわけですな。いい悪いでいえば妻子を裏切る男が悪いのはもちろんですが、妻子持ちとわかって寄ってくる女も、まぁ悪いですよ。で、やましさの糸がこんがらがっていくうちに殺人が出来する。ヤリ部屋なんて下品なターム、使わんといてください。あくまでサロンの延長です。

ヨーロッパ発では時々こういうアダルト映画にお目にかかることがある。素晴らしいですね。堪能いたしました。

元はベルギーの映画なんですね。これをリメイクしたオランダ版が本作。ハリウッドでもリメイクされています。どうせならベルギー版(フラマン語であれかし!)を見たかったですけど、後の祭り、己の不勉強をちょっとばかり恨みます。それでも満足は満足です。オリジナルと思って見ながら、感心することしきりでしたから。

これはもうね、脚本の勝利。オランダ、ベルギー、ドイツあたりのプロテスタントの国民性がハマるんでしょうね。日本でのリメイクですか。いやはや目も当てられないでしょうね。世界に名だたるガキ帝国でございますから。芸能人の不倫がどうのこうのと騒いでいるうちは、この国にこの手の映画を楽しむ下地なんてないんじゃないかと疑いたくもなってくる。

本邦の誇る王朝文学なんて、不倫なしには語れませんのにね。
Foufou

Foufou