NM

スウィート ヒアアフターのNMのレビュー・感想・評価

スウィート ヒアアフター(1997年製作の映画)
3.3
一人の弁護士がある静かな山村にやってきた。
先日起きた通学バスの転倒事故を担当するため。
バスの運転手や子どもを失った遺族たちを説得し、訴訟して賠償金を勝ち取ると燃えている。自動車会社や道路会社、学校の理事会等々、整備を怠ったり命を軽んじた人たちに制裁を与えるべきだと。
打ちひしがれている村民たちは彼の言う通り訴訟の準備を始めるが……。

象徴としてハーメルンの笛吹きの物語が度々語られる。

この弁護士には娘がいて度々電話がかかってくるが、話しながら頭を抱え込み涙ぐみ、相当悩まされている様子。
もちろん愛してはいるが、嘘ばかりつき全く言うことを聞かないので怒りもあるらしい。それにどうももう救えそうにないようだ。
もしかすると自分の真摯な思いに反して事態が一向にままならないこと、さらには社会構造や世間の親子に対してすら恨みのような感情があるのかもしれない。
そんな、社会への苛立ちを他人たちの訴訟問題にすり替えてはいなかったか。もっと言うと彼は普通の人間である一方、無意識かもしれないが自分の不幸に他人を巻き込みたい思いがあったのではないだろうか。
NM

NM