SatoEmiko

アンダーグラウンドのSatoEmikoのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
5.0
「苦痛と悲しみと喜びなしでは、子供たちにこう伝えられない。むかし、ここにある国があったと。」

やかましいほどのブラスバンドの音楽にのせて、濃すぎる登場人物たちが半狂乱で練り歩く、パレードのような映画。
戦争、裏切り、喪失、崩壊…どんな悲惨な場面にも漂う音楽にとユーモアが苦しみも悲しみも包み込み、明日へ明日へと駆り立てる。
人間が、人生が、愛おしくなる人間賛歌。
第二次大戦からユーゴ内戦までをまるで生き抜いたかのような気分のするほど、濃密な170分。

色々な感情がごちゃまぜのまま、迎えたラスト。愛した祖国で互いに慕っていた"兄弟"…裏切り裏切られ、いつしか啀み合い争いあった兄弟が、また分かち合うその最後には、思わず涙がこみ上げてくる。

今まで私が観た映画の中で、一番エネルギッシュでエモーショナルな映画かもしれない。
気がつけば、そのメーターが振り切れんばかりのパワーに圧倒され、口を開けてのめり込んでいました。
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