宇尾地米人

絶壁の彼方にの宇尾地米人のレビュー・感想・評価

絶壁の彼方に(1950年製作の映画)
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ダグラス・フェアバンクス・Jr演じる主人公はアメリカの優秀なお医者さん。ある日、ボスニア国からその功績の授与式に出てもらいたいということで、赴きます。そこで公開手術も行うことになった。外国のため、知識と技術の教示しましょうというものですね。ところがその手術中、患者が警察国家最高指揮官であるニバ将軍だということを知ってしまうんですね。驚いた後、何故か意識まで失った。ここから怖くなってくる。

将軍が回復するまで、公共事業大臣でもあるジャック・ホーキンス大佐によって帰らせてくれなくなった。しかも容態が急変した将軍は塞栓症によって亡くなってしまう。将軍の死を目の当たりにしたお医者さんは、身の危険を感じ、米国公使館を目指して逃亡。大佐の命令を受けた武装警官隊が指名手配をかけ彼を追いかける。さぁどうやってボスニア国から脱出するか。

ということで、秘密を知った男の逃亡サスペンスです。途中、劇場に逃げ込んでからグリニス・ジョンズの協力を得るので、男女の活劇になります。追っかけてくるのが軍隊のような武装警察組織。とっ捕まれば口封じに殺される。こういうところが怖い。街中から山岳までも舞台に、危険がどんどん迫って来る。スリル、サスペンス、機転を利かせる活劇の感覚。イギリスのサスペンス映画はこんなにも面白い。ヒッチコックも名匠ですが、ギリアットとローンダーも一流の映画製作者です。さらに撮影監督が『第三の男』でアカデミー撮影賞を受けたロバート・クラスカー。助監督にはのちに『007 ゴールドフィンガー』や『レモ 第一の挑戦』などを監督したガイ・ハミルトンがあたっているのも面白い。
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