らんらん

浪人街のらんらんのレビュー・感想・評価

浪人街(1957年製作の映画)
3.7
松竹、モノクロ、時代劇、群像劇
出演者、近衛十四郎、河津清三郎
藤田進、北上弥太郎、竜崎一郎
高峰三枝子、水原真知子、山鳩くるみ、野上千鶴子、石黒達也、清水元など

【内容】
落ちぶれながらも逞しく生きる浪人たち(近衛十四郎、河津清三郎、藤田進、北上弥太郎ら)のそれぞれのエピソード

そして
旗本の身分を笠にきて横暴な振る舞いをする旗本たち(石黒達也、竜崎一郎ら)との対立なんかを描いていく時代劇映画

【感想】
基本的にはコミカルなシーンの多い娯楽時代劇なんだろうけど、終盤が一味違っていて余韻を残すラストが印象に残る映画

よくあるパターンなら近衛十四郎が1人で乗り込むも多勢に無勢で大ピンチ、そこへ藤田進と河津清三郎、さらには北上弥太郎も助太刀
その後はその他大勢が駆けつけチャンバラ終了、なんだかんだめでたしめでたし、って流れになりそうなもの

この映画では藤田進と河津清三郎が助太刀までは予想通りの流れなんだけど
北上弥太郎は助太刀来ないし(そもそも近衛十四郎と接点がない)、河津清三郎は旗本たちに殺されてしまうし、近衛十四郎と藤田進は退却しちゃう(その後は追われる身)
結局旗本たち(悪役)の勝利って感じのある意味バッドエンド

だがそれがいい
無敵の主人公、強引なハッピーエンドな時代劇が多い中で、これが現実を見せてくれる珍しいパターンだと思う(ちなみに前者のパターンの否定ではなく、むしろ好きなほう)

・良かったところ
幾度も繰り返される近衛十四郎と河津清三郎の剣の勝負
刀と刀がぶつかる際にホントに火花散ってるように見えてなんか感動した、時代劇多く見て来たけどそんなシーン記憶にないもん
2人とも本気で斬り合ってたりするのに、その後一緒に酒飲んでガハハって笑い合ってるのも性格が表れていて良かった

あとは
なんだかんだダーティーなことしてる浪人&旗本たちなんだけど、みんなどこか憎めないところも人間味があって良かったと思う
そういうところでキャラクターにリアリティが出ていたと思う

・出演者メモ
全体的には地味なメンバーによる群像劇、メインは近衛十四郎、河津清三郎、藤田進の3人

・近衛十四郎
主演ながらダーティー&女ったらしのクズ浪人役
クライマックスのダッシュ&フンチラしての大立ち回りは阪妻を彷彿とさせる

・河津清三郎
もう1人の主人公ってくらいの印象度
今まで見て来た河津清三郎の出演作のなかでも最上位に来るぐらい良かった、何なら主演の近衛十四郎食っちゃってるくらい

・高峰三枝子
終盤まではほとんど出番がない、終盤出番が増えてラストカットは高峰三枝子で終わるので印象には残る
でも基本的に近衛十四郎としか関わりがなく、メインストーリーにはほぼ絡まない部外者

・その他
高峰三枝子の出番が少ない分、ヒロイン候補となるのは水原真知子と山鳩くるみ
見覚えのない女優さんながら、どちらも見た目も良くいい演技していて印象に残った
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