ドキュメンタリー系作品以外で、官能性を感じなかった初めてのクエイ兄弟作品かも。
5年前の彼らの初長編映画「ベンヤメンタ学院」観られてないから、そこからなのかココからなのかが分からないけど、昔の作品からテイストが少し変わった!
BGMのチョイスや描き方に、官能性の代わりに不穏さと硬質さが目立つようになり、冒頭の感じなんかはまさにデヴィッドリンチの短編の印象を受けた。
「来て、あなた」と懇願し、殴り書き続ける女の願いは、時の止まった彼女の世界に留め置かれ、決して届かない。イン・アブセンティア、”あなた”の不在の中で、ただ想いだけが吐き出され、柱時計の下に溜まり続ける。
こうなるに至った経緯に想いを馳せて気の毒に感じるが、クエイ兄弟がこの域を描くと描き方がシャレにならないのはよく分かった。