TS

それでもボクはやってないのTSのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
4.7
面白すぎる。自分の中での邦画最高峰が降臨しました。邦画に対して失礼な気もしますが、邦画のレベルを超えている。まさに150分近くあるのに釘付けになってあっという間に終わってしまう、それほどの傑作でした!

満員電車に乗り込んだ26歳の金子は、痴漢と間違われて中学生女子に現行犯逮捕されてしまう。そこから彼と警察との戦いがはじまるのだが、、、

やはりその作品が傑作かどうかは、最初の5分でわかります。ただならぬ雰囲気。今までみた邦画とは覇気が違いました。あ、これやばいかも。て直感しましたwww

さて今作は、日本の法廷関連の痛いところを猛烈に批判しながらも、とても楽しめる作品に仕上げられています!
明らかに主人公金子は痴漢をしていない。でも物的証拠がない。それを自白の強要で済まそうとする刑事。
唖然となります。やってもないことに対してやりましたと言わなければならないこの屈辱。

恐ろしいことに、さっさと自白した男は罰金を払えばすぐ釈放されて、主人公のように否認し続けたら、ずっと拘留されるということです。
この社会の矛盾を僕たちはどう受け止めたら良いのでしょうか(°_°)
警察も人間、このような事件を毎日ごまんと扱ってきたら、感覚もおかしくなるのでしょうか。さっさと自白してくれる人の方が、警察の心理から言わせると正義なのです。なぜか。否認し続けるということは自分たちに楯突くだけでなく、それまで業務が長引いてしまうからです。

警察が神の使徒などであれば、ストレスもたまらずに真摯に調査をしてくれるのでしょうが、今作の警察ときたらそのような姿勢は欠片ほどもない。今作といいましたが現実でもこんなのでしょう。。

法廷の公判も大したものです。相当な見ごたえ。一言一句聞きもらせないです。法律関係を勉強してる方はかなり参考になるのではと。
でも難しいというわけでもありません。法律に全く詳しくない自分でもついていけましたので。ただ情報量が非常に多いので、もう一度見ようとはならないはずです。。

中盤のおじさんの台詞も凄く印象的でした。裁判官にとって、無罪をだしまくるということは、つまり警察、国家に楯突くということ。そうなれば裁判官の出世は、、?国家も人間が束ねた代物です。公正なものとしても、楯突く人間に良くしようとは思いませんよね。だからなるべく有罪判決にする。。
これがへえー!と思いましたし恐ろしいことだなと思いました(°_°)!

この映画を観終わってしばらく呆然となりました(°_°)僕たちは、自分がやっていないこと、つまり完全に潔白であるのなら、それを主張し続けることにより恐らくは最終的に勝利すると思い込んでいたようです。

こういうところから冤罪は生まれてくるのでしょう。
裁判官をはじめとした人たちももちろん人間。間違えることもあります。
今作において誰が悪いとは言えない気もします。悪いのはこの悪しき日本の裁判制度。冤罪事件で有名な袴田事件の菅谷さんなども、この何百倍の苦難を乗り越えられたのかと思います。

果たして何が正義なのか。裁くとはなんなのか?

そのような根本的なことを考えさせられ、負の社会的要因を痛烈に訴えたメッセージ性のある映画と感じられました!

セリフが多いボリュームたっぷりの映画を見たい方に強くオススメします。
稀に見る邦画傑作です( ^ω^ )!!

『ザウォーク』『クリード チャンプを継ぐ男』『2012』に並ぶ☆4.8です。
実は☆4.8以上つけてる作品は今作も含め6作品しかありません。
上の方は評価厳しいですかね?(笑)
TS

TS