みかんぼうや

女は二度生まれるのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

女は二度生まれる(1961年製作の映画)
3.7
川島雄三監督×若尾文子主演という「しとやかな獣」と同じ黄金コンビによる、芸者からある男の妾になり、世を渡る一人の女性を描いた作品。

なんと言っても、凛とした美しさと独特の色気を放つ若尾文子が、その魅力、いや魔力で男たちをどんどん虜にしていく様を観ているだけで面白い。今とは社会の価値観も文化も慣習も大きく異なる時代。この生き方を選ぶ女性が今の映画やドラマで描かれることは、想像がつかない。

医者、建築家、事業家、すし職人、さらには映画館で出会った高校生にまで声をかけて、その魔力に引き込んでいく凄さ。でも、全く悪気はないし、したたかさや小憎たらしさがあるわけでもない。計画的なわけではなく、ある意味健気に本能的に自然にアプローチしていくのです。ただ、男性としては、これが一番厄介なのかもしれない。

そんな私も若尾文子さんの魅力に惹きつけられ続けた約100分。女優の魅力だけで観ていて全く飽きない映画でしたが、そんな彼女の本能的な行動に翻弄される男性たちもどこか滑稽で見ていて面白い。

なかなか言葉で言い表せない魅力のある作品で、川島監督の作品では個人的には「しとやかな獣」の次に好きな作品でした。
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