戦争孤児にして芸のない芸者、小えん(若尾文子)の物語。歌や踊りという芸がないから、小えんはすぐにお客と寝る。
時代と環境のせいもあるけど、学や縁など何も無い場合、女は身体ひとつで生きていかねばならない。職業選択肢も少なくてただひたすら消費される側って辛いな…
とはいえ小えんに悲壮感は無く、淡々と男を渡り歩くが、そんな生活に賞味期限があることは明白にして事実。
だからこそ、社会で独り立ちできる地力をつける教育は大切なのだとつくづく思う。
明日から突然無一文になってしまったらどうしようと途方にくれるより、何か身につけておくことが最善。
生きる術が無く、誰かの庇護にある状態を楽な生き方と見るか、不自由と取るか。
男と女は感情と損得の世界。
ややこしくて生々しい。
小えんは美しく朗らかでありながら、一方でどうしようもなく惨めであるという現実的な終わり方に、身につまされる思いがした。