フェリーニの記憶のローマ。マンジャーレ、カンターレ、アマーレのパッショナーレのカオスな街。映像の魔術で見せられた楽しいローマ・ツアーでした。
上京してきた若きフェリーニ(アラン・ドロン似のイケメン)が案内される戦時中のローマと、撮影当時の80年代のローマのどちらもパワフルでたくましい人々の営みを描いています。
怖いものは怖く、
醜いものは醜く、
美しいものは美しく、
次々と魔法のような映像が現れ、パターンではなく、対象の持ち味を引き出し極める描き方がもう楽しい。
記憶の断片だからストーリーはつながってはいませんが、眩い映像に飽きることがありませんでした。
とくに印象的だったのは娼館。圧倒されました。ぜひ映像を観てほしいです。
貴族の館の枢機卿迎えてのファッションショーには笑いました。
ラスト、暴走族が走り抜けるローマ市内で馬に乗った英雄のモニュメントをライティングで一緒に走っているように見せる技!
以下、ローマの思い出
かつて一度だけ出張で行ったローマ。遅延して到着した深夜の空港から、空港管理人に扮した男に騙され白タクに乗り、三倍ボラれ、抗議したら、ホテル手前のベンツに乗っている黒人たちに合図され脅された恐怖の思い出があります。
その猥雑さ怪しさ含めてのローマなんだなと、追体験したみたいな映画でした。
深夜のローマで感動したのは、真っ暗な広場の真ん中に松明が灯され、闇の中から突如コロッセオが現れ、静けさの中で悠久の時間を感じたことです。街すべてが人類の歴史の生き証人。観光客に見せる表の顔以外を見られたこと。この作品もそんなローマ案内でした。