jonajona

椿三十郎のjonajonaのレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
5.0
あなたは少しギラギラしすぎですねぇ
抜き身の刀みたい
ほんとうにいい刀というのは
鞘に収まってるものですよ?

予想外に椿三十郎のとんち力が光るコメディ映画の要素が強い作品でした!

ほんとにざっくりとした説明なのですが、内容は下級武士たちが上の汚職について告発をし、上の一人の男に告発状を送り約束の場所で返事を待つ。そのあばら家に浪人、椿三十郎がいた。彼は武士たちの話を聞くにつけ『なるほどなるほど、てめーらは騙されてやがる』とそう言うのだ。
三十郎の予想通り、信頼した上の男は兵を放ちあばら家を取り囲む。上の男も汚職にどっぷりで武士たちは裏切りに合うわけだ。三十郎のとんちと見え切りでもってその窮地を乗り越えた彼らは、三十郎にこの正義の告発を手助けしてくれと頼み込むことになる…。敵兵は数知れず、下級武士たちは10余人…。頼るべき上司はだれか。
完全な逆境。情報も曖昧模糊としたなか三十郎がとんちと腕っ節の強さでもって、武士たちの戦いを率いていく。

一休さん的な発想のたのしさ、三十郎に始まるキャラクターの魅力、弱者が強者を倒すための理論(アイデアでもって出し抜くこと)がしっかりしてる点が特に素晴らしいと思います。
ほとんど一人の知力と武力でもって戦いを制していくのですが、そのカリスタ性を流石の三船敏郎さんが好演。敵役の中代達矢演じる室戸半兵衛が彼の魅力に惹かれ、騙されてるとは知らずに仲良くなっていくさまはすごく悲しいし胸熱な展開ですね!
二人とも誰かの下に着くまま終わることができない『抜き身の刀』。心惹かれあってたはずなのに、立場の違いとプライドで刀を交えるラストはこの映画の白眉と言えるでしょう。

あのシーンは監督がほかの演者に何が起こるか教えることなく撮ったようですね。なので取り巻きの加山雄三ら下級武士もどちらが勝つか、どう刀を振るか知らない状態だったと。三船らも相手がどう刀を振るか知らなかったと…!すごい現場ですね…笑
それだけの迫力があのシーンには漲ってると思います。必見です。ぜひ
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