Mikiyoshi1986

ゆきゆきて、神軍のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
4.7
filmarksでの高評価で、ずっと気になっていた本作。やっと鑑賞する機会に恵まれました。
結果、期待を遥かに上回る鮮烈な内容にショックを受け、鑑賞中はずっとお腹の辺りに重たいものを感じてました。
ここまで面白いドキュメンタリー映画を観たのは、正直言って初めてかもしれない。

クソアナーキーなデンジャラス復員兵・奥崎謙三氏の足取りを追っていくカメラ。
次第に明確になっていく彼の目的と定まる焦点。
戦争関係者たちがぽつらぽつらと証言し出す出兵地での"ある惨状"。
責任逃れの構図は、本当面白いくらいに「藪の中(芥川龍之介)」状態でした。

戦後から早70年。南京事件や従軍慰安婦など、いまだにウヤムヤな歴史認識が存在する現在。決して語られることなく、葬り去られてゆく戦時中の真実って一体どれ位あるんでしょうね。
奥崎は世間一般では気の違った反社会的な危険分子。でも、彼なりの正義感を真っ向から否定できる人間は、実際誰一人として居ないのかもしれません…。

映画としては編集の仕方が凄く上手でした。
あと、あの街宣車に初心者マーク貼ってあるのがかなりツボでした。

結論、奥崎謙三は「タクシードライバー」のトラヴィスそのものでした。
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