CINEMAと暮らす

ホーリー・マウンテンのCINEMAと暮らすのネタバレレビュー・内容・結末

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

全てのカットが膨大な情報量で構成されており、意味を考え出すとキリがない。気を張り過ぎずに目の前で起きていることを素直に楽しみ始めることがホドロフスキーの映画を見るのに丁度いい姿勢なのかもしれない。そのうち、「こいつは欲張りなやつだ」とか「こいつには共感出来る」というシーンが出てくる。『エル・トポ』以上に用意されたフックに釣られて、作品にのめり込んでいくうちに自分の欲深さに気づいてくる。そうして映画を楽しみ始めたところで、映画は終わりだと告げられ、観客は現実世界に戻される。近年では『レディ・プレイヤー・ワン』『ソウルフル・ワールド』など、ゲームなり、映画なり魅力的な世界は結局は妄想の世界で、「現実を生きろ!」と突き放される作品が印象に残る。『ホーリー・マウンテン』はそういった映画の先駆けであると同時に、「映画で学んだ精神を現実世界で広めろ!」と直接脳内に語り掛けてくる"洗脳映画"とさえ言えるかもしれない。