ただのすず

殺人の追憶のただのすずのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.9
寂れた農村、黄金の稲穂が揺れるその下で
ひっそりと誰にも気づかれないように裸に剥かれて殺され隠された死体。

未解決の華城連続殺人事件を元にした戯曲の映画化。
脚色があるのだと予めわかっていても、現代の警察物を見慣れていると、1980年代の韓国警察に戸惑う。
暴力暴力、捜査するためではなく犯人に仕立て上げるために連れてこられる容疑者、最終的に占い師に頼ったりもする、笑った。本当に正気かなと思った。
でも本気で藁にでも縋る思いで捜査するとそうなるのか、
DNA捜査が自国でできない、科学捜査が発展していない時代の刑事は本当に凄い、遣り切れない。
警察側の心情に寄り添ってもいるが、暴力を不快に馬鹿にした撮り方もしていて、暴力では何も解決しないよ足なくなるよって言われてびくっとした。

雨と人肌が混じり合った匂いや、吹き抜ける風を感じる映像、自宅の小さな画面で観たのに、まるで大劇場で観たかのような錯覚がした。