モリアーチー

ブロンドの殺人者のモリアーチーのネタバレレビュー・内容・結末

ブロンドの殺人者(1943年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作がレイモンド・チャンドラーの『さらば愛しき女よ』("Farewell,My Lovely" 清水俊二訳。村上春樹訳なら『さよなら、愛しい人』)です。今までに三度映画化されているうちの二度目の映画化作品とのこと。

フィルムノワールの名作らしいのですが、種々理解に苦しむところもあります。まず邦題からしてネタバレです。なぜこんなタイトルにしたんでしょうか?どんでん返しがあるならまだしも、真犯人はそのままブロンドです。

邦題は作り手の責任じゃないので難癖と言われれば仕方ないですが、原題も"Murder,My Sweet"とよくわからないものに変わっています。しかも元々複雑で読んでいてもちっとも頭に入らない原作なのに、映画はほとんど整理もせずに作られていて、どんどんお話が進んでしまい、観客は置いてけぼりになってしまいます。何度も戻して見返す羽目になりました。自分の頭が悪いのか?とも思いましたが、多分監督のエドワード・ドミトリクも完全にはわかっていないんじゃないかと思います。

主人公フィリップ・マーロウは麻薬中毒にさせられて幻覚を見たり、敵に何度も痛い目に遭わされて失神したり、タフでなければ生きていけない探偵業を身をもって証明しています。それでもノワールの主人公らしく皮肉のこもった軽口を吐き続け、おどけてステップを踏んだりと、お茶目な面も見せて好印象です。主演のディック・パウエルは熱演しています。けして二枚目ではない探偵マーロウそのものになりきっています。
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