モリアーチー

怪談生娘吸血魔のモリアーチーのレビュー・感想・評価

怪談生娘吸血魔(1960年製作の映画)
2.0
『怪談生娘吸血魔』は1960年製作のイタリア映画です。日本では悪名高い大蔵映画の配給で1963年に劇場公開されています。当時このタイトルを見た人はどんな内容の映画を想像したのでしょう。さすがに『花嫁吸血魔』のプロデューサー大蔵貢だけあります。

一種のマッドサイエンティストものです。端的に言えば、『顔のない眼』と『ジキル博士とハイド氏』を足して二で割って半額セールにしたようなお話です。最低の映画なのでオリジナリティなんてありませんし、登場人物の誰にも感情移入できません。

踊り子のジャネットは、恋人の船乗りピエールに捨てられ、自暴自棄になって交通事故を起こします。顔には一生残る傷跡が。その記事を見た気◯い博士のレビン博士の助手モニークが、ジャネットをデルマ28なる新薬品の実験台にしようと企みます(ちなみに改良前のデルマ25は注射するとモンスターになるらしい)。

結局上手くいかないのはお約束で、後半はジャネットに惚れてしまった気◯い博士が、若い女の脳下垂体を手に入れるために怪物と化して殺しまくるというお話です。

でも、気◯い博士が度胸付けるために自ら変身する怪物は、吸血魔なんてタイトルなのに血なんて吸いません。生娘でもありませんし、生娘を狙ったりもしません。若い女の脳下垂体、とか言ってる割には狙うのは年増ばかりじゃないですか。

でも、そんなおバカなところはむしろ愛すべき欠点です。この映画の一番酷いところは怪物になる博士が広島に研究に行っていたという設定です。広島土産と称してガラス瓶と陶器が熱で溶け合ったものを飾っています。悪趣味の極みで最低の奴です。

観ればわかりますが、広島の研究自体も非道いものです。日本人なら真剣に怒るべきです。抗議のメールをマリオ・バーヴァならぬ製作者のマリオ・フォーヴァとか、監督のアントン・ジュリオ・マジャノとか、よくわからないイタリア人達に送るべきです(多分もう死んでますが)。大蔵貢は何を考えてこんなの輸入したのでしょうか。

カットされてる場面が多いのか、よくお話が把握できません。場面の順序がおかしなシーン(映画館の血と犬に噛まれる場面等)もあったり、なんだかダメダメ感も横溢しています。

この映画ばかりは観ないことを強くお勧めします。
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