モリユウキ

地下鉄のザジのモリユウキのレビュー・感想・評価

地下鉄のザジ(1960年製作の映画)
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ジャンプカットや早回しを使ったドタバタコメディ。効果音から俳優達の動きまでもろもろが楽しい。
ザジの目線から見た大人達のしょーもなさもいい具合に含んで、最後の乱痴気騒ぎには撮影クルーも写ってますよというメタ具合。
疲れ果て、寝ている間に実は念願の地下鉄に乗っていることに気づかないこと、そして「歳をとったわ」という成長と徒労の両方を見事に表す最後の台詞は、ザジの未熟さとおませ具合と達観がないまぜになっていて実に見事だ。
ヌーヴェルヴァーグ特有のロケ撮で巡るパリの街並みが、時代の程度はあれど今とそう変わらないところを見せられると、「パリは永遠だ(Paris sera toujours à paris)」というエッフェル塔からのセリフにも説得力を感じさせられたな。
話の筋はともかく、コミカルさからちびっこ達にも親しんで欲しい一作。