ドタバタラブコメであるはずの原作を用いて、ここまでダークでサスペンスなものが作れるのか...という驚き。
文化祭の前日という特別な日がいつまでも終わらなければいいのに、と大人になって懐古することはしばしばあるが、「終わりなき日常」が続いた先にあるディストピアとして本作が提示されている部分があるのだとすれば、やはり現実を懸命に生きねばならないか...という思いにさせられる。
語り草になっている素晴らしいカメラワークもその通り。サクラと♨️のぐるぐる回るところと、しのぶが風鈴の中に迷い込んでいくシーンが幻惑と恐怖を両立していて特に好き。
多分これだけ逸脱したものを作るには現実の調整も色々あったろう。それを通し切った製作陣の苦労にも労いの思いを持ちたい。やっと観れて嬉しかった。傑作。
