モリユウキ

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のモリユウキのレビュー・感想・評価

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突然生き甲斐であった音楽とパートナーとの暮らしが失われて、焦燥と苛つきが止まらないルーベンへの感情移入を促すリズ・アハメッドの名演技。
元の世界に戻ってみれば、音をノイズのようにしか認識できず、これまでの暮らしにはもう戻れない、それ故の隔絶だったのだということを悟らされる残酷さ。タイトルのメタルにはジャンル名以外にもインプラントを通じて聞こえる金属音という意味がかかっているだろうことが鑑賞後だと推測できる。
ラストの静寂が施設長ジョーの言葉を思いださせ、ルーベンのこの先の生き方を示唆して終わるが、本当に受け止めるのにはきっとまだまだ時間もいるのではないだろうか。
途中GISMのTシャツ着てたのと、「死んだ人の灰をインクに混ぜてタトゥーを彫れる」という台詞が印象的だった。