TAK44マグナム

伝説巨神イデオン 接触篇のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

伝説巨神イデオン 接触篇(1982年製作の映画)
2.9
「機動戦士ガンダム」の富野由悠季が手掛けたSFロボットアニメの傑作であり、問題作でもある「伝説巨神イデオン」の劇場版。
前編、後編を一挙に同時上映するダブルリリース方式で公開。

「接触編」は、テレビシリーズを再編集したもので、地球人類とバッフクラン人類の不幸なファーストコンタクトから、追われるソロシップと追うバッフクラン軍の宇宙を股にかけた壮大なチェイスを大胆すぎる構成で描いております。

ケイブンシャの「機動戦士ガンダム大百科」の後ろの方に、ポスト・ガンダムとして紹介されていたイデオン。
テレビシリーズ放送当時は観ていなかったので、「ガンダムみたいに格好いいロボットアニメに違いない」と思い込み、きせずして製作された劇場版を観に行きましたよ。
なにせガンダムは大ブーム。劇場版もヒットしていたのもあって、「きっとイデオンも並ぶに違いない!」と、藤沢にあったショッパイ映画館であるテアトル大丸に気合をいれて朝の5時には到着!
・・・まあ、当然のごとく誰も並んじゃいませんでしたけどね!
ちなみに併映はジョージ・ルーカスの短編「電子的迷宮」でした。

後編となる「発動編」は、テレビシリーズでは打ち切りになってしまった為に描き切れなかった決戦部分を新たに製作したものなので作画からして力が入っているし、数多いロボットアニメの中でも飛び抜けてブッ飛んだ内容も素晴らしく、現在でも名作と認知されているわけですが、「接触編」はテレビシリーズそのまんまの出来な上に、シリーズの序盤だけに尺を使って中盤をメチャクチャ端折っているものだから一見さんお断りの訳の分からなさ。
あくまでも「発動編」を観るための前フリでしかないのです。
どう考えても短い尺に納めるのは不可能と、富野監督も諦めちゃったんでしょうかね(苦笑)
監督、「機動戦士ゼータガンダム」でも、かなり無茶な編集して失敗した例があるし。特に二作目の「恋人たち」は酷かった。
取捨選択が大胆すぎるのも考えものですな!

後年、ビデオでテレビシリーズ全話を観たうえで個人的にフィーチャーしてほしかった部分が殆どカットされちゃっているのも哀しい。キッチ・キッチンやギジェ・ザラルの悲劇はもっとちゃんと「接触編」の中で描いて欲しかったです。
キッチンなんて重要なキャラクターなのに、「発動編」の冒頭で、あっという間に首チョンパですからね・・・(汗)
そんなわけで、どうにも「接触編」だけでは語れないのが劇場版イデオンなのでした。

しかし、ポスト・ガンダムと言うのも、正統な続編であるゼータガンダムもまだ存在していなかったし、ザブングルやダンバイン、ドラグナーも無かった時代にイデオンをそういう立ち位置で語りたいのも解るけれども、ちょっと無理があるような。
だって、第一にリアルロボットの範疇にないでしょ。
確かに敵となるバッフクランの重機動メカは量産タイプだったりしますが、イデオンは完全にスーパーロボットですよ。
100メートル以上あるし、ボディカラーはガンダム以上に派手だし、ブラックホールは作り出せるわ、イデオンソードは惑星を真っ二つに出来るんですよ?
これがリアルロボットであるはずがない(苦笑)!
プラモ作っていたアオシマだって、さすがにリアルタイプイデオンとかリアルタイプガンガ・ルブなんて発売しなかったよ!
当時としてはドラマ性が高い高年齢層を意識したロボットアニメという共通点はあるけれど、富野監督自身、ガンダムの流れで考えたようには思えないものね・・・

正直、テレビシリーズさえおさえていれば「発動編」のみ観てもOKのような気がしますが、どうせならセットで鑑賞するのが正しい劇場版の観方なのかもしれません。
とどのつまり、壮大な完結に向けてのオマケみたいなものですな。


劇場、レンタルビデオ、セル・ブルーレイにて