ギリシャ神話のオルフェウス伝説を現代を舞台にした作品。
死の世界から帰る途中、決して妻を見てはいけないという日本の神話にもある物語。
人間も死の世界の住人も恋に翻弄されるという顚末。
それにしてもオルフェはかなり身勝手で、オルフェの妻ユリティスがなんとも不憫でした。
当時のフランスの政治的背景や監督・脚本のコクトーが詩人としての在り方に悩み、苦悩していた様子が投影されているようです。
繊細な心情は、愛している人や物を守りたいという思いとは裏腹に、傷つけて壊してしまうということでしょうか…
愛は死をも超越する、というよりも死の国の王女の存在により元の神話が結構台無しになっていたような気もします。
とはいえ、逆回転や鏡に見立てた水面を使った映像など不思議な空間演出でした。
オルフェを演じたジャン・マレーはコクトーの愛人。
王女を演じたマリア・カザレスはアルベール・カミュの愛人。
フランス映画、藝術の時代。