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オルフェのtosyamのネタバレレビュー・内容・結末

オルフェ(1950年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

固体である鏡面がさんざめく液体の水面へときりかわり冥界への扉がひらかれる。この詩情この発想がとにかくすばらしい。まさに詩人の発想だが鏡のなかの異界へとはいるさいのトリック撮影とかんがえれば同時にこれは円谷英二っぽい特撮監督的発想でもあるといえる。水槽にひろがるミルクをサカサマにとって海底火山の噴火としたように。コクトーのそれは垂直にたてかけられた姿見のなかへと人の全身がすいこまれるそれなのだが。さてどうやって撮影したか。コクトーは水のなかに人がはいるシーンを90度180度カメラをかたむけて撮影したのだ。しょぼいという人はいえばよい。特撮に詩情をかんじないような人とはわかりあえない。自分はあの世界大戦争そして日本沈没。演技より特撮にふかいふかいイキモノをかんじた部類なので。さてさて。ということで唐突だが本作もわがライフワーク下水道映画に認定させてもらいたい。水まわりを異界への入口とする第三の男をはじめとする下水道映画なるジャンル映画のセカイ。本作のえがくところの冥界それも異界なのだ。第三の男がウィーンなら本作がパリで浮雲が東京。戦後すぐの廃墟ロケが特撮怪獣世代の自分にはリアルミニチュアにみえ不謹慎だが親近な諸作品。
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