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サガン -悲しみよ こんにちは-のgarnetのレビュー・感想・評価

2.8
中流階級の穏やかな家庭に育った少女は夏休みに書いた小説で一躍脚光を浴び、世を騒がせる小説家になった。処女作「悲しみよ、こんにちは」の名のように、小説家として生きた人生の中の寂しさを描いた物語。

サガンはいつまでも少女のままだった。持って生まれた運と才能と若さで、思うがままに走ってきたものが、取り巻きや世間から甘やかされてきたことで少しずつ進路がずれていく。
少女のまま大人の世界に足を踏み入れた彼女は、大人になるしかなかったんじゃないか。孤独に向き合えず取り巻きの中でしか息ができない。甘えが徐々に酒やドラッグに代わり、思考を低下させることで自分自身から逃げ続けていたんじゃないか。

誰にでも子供から大人に変わるタイミングがあって、そこで理想と現実の違いを知り、孤独だからこそ他者への愛が深くなる。
サガンは大勢の人に囲まれながら、抱え続ける寂しさを一体何が埋めてくれるのかと、ずっと探し続けていた。


髪を撫でつける癖。小説を書くこと以外は全然ダメといいながらも、いつも自分に似合った服を着て、恋に落ちるときはいつも少女の様に目を輝かせて相手をみつめる姿がとても愛おしく感じた。
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