OASIS

サウンド・オブ・ミュージックのOASISのレビュー・感想・評価

4.2
1930年代のオーストリアで、退役軍人の父に厳しく躾けられた7人の子供達とその家庭教師をする事になったおてんばの修道女との交流を描くミュージカル映画。

新・午前十時の映画祭にて。
恥ずかしながら初めて観たが、なんという名作。
ナチスの支配から逃れようとする一家の悲惨な運命を数々の有名曲に乗せて送る、正にミュージカル映画の金字塔。
3時間が全く苦では無かった。

ミュージカル映画は数える程しか観た事が無いが、終始唄いっぱなしだった某無情映画と違い、唄と演技両方のメリハリが抜群でそのどちらも堪能できる余裕のある素晴らしい映画だった。
「ドレミの歌」や「Sixteen Going on Seventeen(もうすぐ17歳)」「エーデルワイス」は説明するまでもないが、劇中の歌はほぼ全て名曲と言っていい。
この映画が公開されたのは1965年だが、その前年に作られた「メリー・ポピンズ」でも主役を演じたジュリー・アンドリュースがシスターマリアとして主演している。
厳しい父によって娯楽を禁じられてしまった子供達と音楽を通じて心を通わせて行く所は両者に共通する所だが、やはりどちらの作品も彼女のチャーミングな魅力によって何倍も質が上がり、歌の力も引き出されているように思う。
彼女の歌声が耳心地良いのはもちろんの事だが、7人の子供達や父プラットを演じるクリストファー・プラマーもそれぞれ心底楽しげに歌い上げているので、時代背景はこの上なく過酷だが観ている間はなんとも多幸感が溢れてくる。

緑に包まれた雄大な大地を写す冒頭のショットから、苦難を乗り越えて再び山頂へと辿り着くラストまで、映画は全て美しい自然に囲まれていた。
悲惨な運命を辿るのでは無いか?と不安な要素もあったが、その全てが明快な唄で掻き消されて最後まで幸福感に包まれる温かい作品だった。
心地良い唄の数々に身を委ねる喜び、それをスクリーンで体感するという至福の時間でした。
某無情映画が苦手な人は是非。

「シング・アロングバージョン」もあって良かったと思う。
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