おさかなはフィッシュ

上海特急のおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

上海特急(1932年製作の映画)
4.5
“列車の到着”から約35年、映画はこんなにも歪で莫大なものになったのだと感嘆のため息が出そうになる。狭い路地ギリギリを走る列車、線路の上には異国の喧騒、牛や鶏。そして姿を現す“上海リリー”。大掛かりなセット、再燃するロマンスに擾乱、すべてが欲望と美のためだけに積み上げられている。そう、すべてコントロール下にあったはずが、光と影が落ちたところに、何か得体の知れないものが生まれ落ちている。だから映画は面白いんだね。映画は永遠に謎であってほしい。

スタンバーグ&ディートリッヒのコンビ作ならば『間諜X27』も好きだけれど、これが最高。東方趣味&列車好きだからね。



GWも折り返し地点なのでなんとなく、久しぶりに鑑賞。
映画を観るのが一番楽しかった頃に観ていた作品。
近頃ずっと感じているのは、複雑さを複雑さのまま享受できるようになりたい。OLの趣味だからとお茶を濁してきたけれど、もう少し励んだ方がきっと面白いし、この息苦しさからも解放されるかもしれない。今年はより多くの本を読めるといいな。