三隅炎雄

13日の金曜日PART8/ジェイソンN.Y.への三隅炎雄のレビュー・感想・評価

4.2
 このシリーズは6作目から一気に自己パロディ化し始めるのだけれど、高校の卒業旅行にNYについていくジェイソンを描く本作はその究極。がやりたいほうだい遊びまくっているようでいて、最終的に1作目に戻ってジェイソンの鎮魂へと繋げてみせたのには驚いた。救命ボート脱出から幻想味が急激に増し、NYの路地裏繁華街、地上地下へと、登場人物たちがアクションをしながら移動、最終地点の下水道を澄み切ったクリスタルレイクに繋げる作劇は文句なしに面白い。しかも選りに選って下水道の工場廃棄化学薬品でジェイソンが浄化されるという苦み込みだから、見かけによらずこれは知的な作りで、PART3と並ぶシリーズの傑作じゃないか。全体を通して空間移動に工夫が凝らしてあるのは、ゲームからの影響かもしれない。ボクシング対決なんかはいかにもそれっぽいと思った。
 それにしてもニューヨークの街が日本企業の巨大広告だらけで(本当に、だらけだ)なんともしんみりしてしまう。
三隅炎雄

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