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日本の黒い夏 冤罪のMpoppinsのレビュー・感想・評価

日本の黒い夏 冤罪(2000年製作の映画)
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1994年6月 松本サリン事件。
事件発生後〜のテレビ局の取材対応はどうだったのか? という高校生からの取材にテレビ局側が答えて行くというストーリー展開。

私は子供の時で詳しい事は覚えていないが、「サリン」という言葉はこの時初めてきき、覚えた。そして当時のオウム真理教の報道。上九一色村、サティアン、ポア、尊師 そんな言葉が毎日流れていた記憶。

映画の中では、
カンベさん(寺尾聰)が、居間でテレビを見ていたら奥さんが気分が悪いと訴え、横になるも束の間、手足が痙攣し、救急車を呼んだカンベさんもその直後同じ症状が起き…また、周りの住民も同じ症状を起こし…、第一通報者カンベさんが容疑者として連日取り調べと報道を受ける。ということが、作品終盤で再現されている。

報道の持つ力。人の思い込みの怖さ。カンベさんが無実かもしれないと報道したら、「被害に遭った人の事を考えろ💢」と、抗議の電話がテレビ局に鳴り響く始末。
クリント・イーストウッド作品の「リチャードジュエル」を思い出した。(逆にあの作品を見た時に松本サリン事件のことを思い出したことを今、思い出しました。)

実際の被害者、河野義行さんを何度かテレビでインタビューに答えているのを見たことがあるが、犯人扱いした警察・報道関係者・国民に対して、怒りをあらわに出しているのを見たことがない気がする…。と、思いながらこの作品を鑑賞後、見つけた河野さんの言葉を貼り付けます。


「子どもには『人は間違うものだ。間違えているのはあなたたちの方なのだから許してあげる。そういう位置に自分の心を置こう』と言い聞かせました。意地悪をする人より少し高い位置まで、許すという場所まで心を引き上げようということです。悪いことはしていないのだから卑屈にならず平然と生活しようとの思いでした」
https://www.asahi.com/articles/ASM702SKXM70ULZU001.html

追伸・テレビ局の報道トップを中井貴一が演じていましたが、視聴率も考えながらも信念のもと動く姿勢がかっこ良かった。ああ〜、こんな上司の下で働きたい。
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