ひこくろ

パップスのひこくろのレビュー・感想・評価

パップス(1999年製作の映画)
4.0
まるで本当に起こった事件をリアルタイムで見ているかのような感覚になった。

銀行強盗を起こす主人公のスティービーとロッキーはまだ13歳。
警察側も手が出せず、人質になった人たちもどこか二人を侮っている。
しかし、彼は銃を持っている。それだけで事件は深刻なものになってしまう。

ピザを要求したり、MTVを呼んでインタヒューをさせたり、と彼らの行動は終始、子どもじみている。
苛立ちを隠せず、時にブチ切れて、銃を振り回す姿もやはり子どもそのものだ。
なのに、大人は彼らに対処することができない。
銃という強力な武器の持つ力。これが銃社会のリアルなのかなあ、とも感じた。

癖のある人質たちと限られた空間で過ごすというのは、かなり演劇的な要素が強いシチュエーションだと思うが、外にいる刑事ベンダーとの電話のやり取りや、テレビ中継、凝ったカメラワークがあることで、あまりそうは感じさせない。
やっぱり、劇場型犯罪を生中継で見ている、という感覚に近い。

気分だけで銀行を襲い、まるでゲームや映画のように振る舞う二人は、これからどうなっていくのだろう。事件は解決されるのだろうか。
そんな興味を抱かせるのが、この映画の魅力なんだろう。

13歳という要素を除けば、わりとありきたりな感じの青春犯罪ものな感じは否めないし、とりたてて目立った良さもない。
映画の出来としては微妙というのが正直なところだ。
ただ、野次馬根性はそそられる。僕はこの102分間の「事件」から目が離せなかった。
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