ノッチ

ダブル・ミッションのノッチのレビュー・感想・評価

ダブル・ミッション(2010年製作の映画)
3.5
女手ひとつで3人の子供を育てている隣家の女性と恋に落ち、結婚しようとしているCIAに出向中の中国人スパイ、ボブ・ホウ。

もちろん女性も子供たちも、そんなこととは露知らず、平凡な会社員だと思っている。 

ボブは彼女らに本当のことを話しスパイを引退しようとするのだが、ボブのPCから子供が勝手にダウンロードした中にロシアの極秘情報があったから、さぁ大変。

ジャッキー・チェンのハリウッド進出30周年記念と銘打ったアクション・コメディ。 

原題は、The Spy Next Door. 

意味は、「隣家のスパイ」。 

ハリウッド進出30周年記念作品だそうですが、生身のアクションやコメディが肩身の狭いこの時代に、偉大なジャッキー・チェンさんが、今の年齢の自分に出来ることを、自分に出来る形で、心を込めて完成させた面白くて温かい正統派コメディ。 

巨大な陰謀の渦に巻き込まれ、ロシアの秘密組織から、愛する3人の子供たちを守ろうとする姿を描いています。 

オープニング映像は『プロジェクト・イーグル』『ラッシュアワー』『ラッシュアワー2』『タキシード』(他にもあるかな?)からの引用。

ファンをニヤリとさせるこの冒頭だけでも、本作が“ベスト・オブ・ジャッキー”と言われる作品であることがわかります。

また、『ポリス・ストーリー』のオマージュシーン等もあり、ジャッキーファンには嬉しい要素が散りばめられています。

主人公が、中国からアメリカのCIAに派遣された諜報員という設定がいかにも現代的。

で、悪役はロシア人。

ロシア人が悪者という設定は、最近のアメリカアクション映画のお約束みたいな印象があります。

話のスケールはそれほど大きくなく、全体的には軽いノリのコメディタッチ。

ファミリーで安心して楽しめるスパイ・アクションだが、ハリウッドだからジャッキー・アクションの切れはほぼ味わえず、演出もヌルい。 

まぁさすがにジャッキーもお年ですから。 

アクションは少ないけど、笑いありで最後まで飽きずに見れた。

何と言っても主人公ボブが、幸福な結婚を選択してスパイ業からの引退を決意するというのが基本線なので、どことなくホームドラマタッチ。

なので、スリル感を求めるムキには不向きです。

アクションよりも、ボブが子供たちにとってかけがえのない存在となっていく展開が本作のメインとなっているウリの部分で、これはなかなかホロリとせてくれますよ。 

ただストーリー的には先が見えてしまうので、片目をつぶる必要はあり。

これからもずっとこういう楽しい作品を撮り続けていて欲しいですね。 
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