余韻の残る不思議な映画だったな。
子育て中のシングルマザーが精神を病み、子供は親戚の家で健気に暮らすというストーリーの上澄みだけを見れば、文科省推薦映画のような退屈作品に成り下がる恐れもあるのに、そこを軽やかに回避してる。
児童ポルノ的にアウトなシーンとか、性的なネタ、暴力的なシーンなどがその辺の要因かな。
極端に不幸な事例だけを集めて自分は幸せだと言い聞かせるイングマルが健気。
執拗に出てくる犬のモチーフ(飼い犬、ライカ犬、犬のマネ)は、もう一人の自分でもある。
宇宙に放り出されたライカ犬は、そのまま孤独に餓死してしまうけど、親戚の家に放り出されたイングマルは暖かい環境に恵まれて良かった。子供の孤独をセリフではなく表情で語らせる演出が好み。
子供にずっと死の予感がまとわりついていて、絶妙な緊張感が漂いつつ、決してバッドエンドにしないところも良い。
居場所のない少年も、自分のいるべき場所が見つかってよかった。
イングマルの顔、かまいたち二人と和田まんじゅうを足したらこんな顔になりそう。