小林正樹監督、小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)原作。
四つのオムニバス作品。
「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」
物語はおなじみの古典なので、特に目新しさはありません。
怪談ですが怖がらせることに焦点があるわけではないため、人間の性や業を表現し、文学的で芸術的なものになっています。
とにかくキャストも豪華だし、お金がかかっていて気合が入りまくりなのが伝わります。
特に「耳無芳一の話」に関しては美術セットをはじめ音楽も何もかもが圧巻。
冒頭の壇ノ浦合戦の描写から琵琶の音。
ちょっと鳥肌立ってしまうほど、幻想的で異様な世界観が見事でした。
先日亡くなられた田中邦衛さんが、とぼけた役でこれまた脇役の方もみなさんいい感じです。
古い映画というのは、どうしてもその時代を映し取ってしまいますが時代劇であれば、それがあまり気にならないと同時に、それも一つの要素として良い方向に加算されている気がしました。