さわだにわか

怪談のさわだにわかのレビュー・感想・評価

怪談(1965年製作の映画)
4.5
静止画の志向、不合理な掟と意図せざる掟の侵犯、その厳罰、なすすべもなく魔に取り込まれていく人間、線状的時間の否定、とかそのあたりの要素にルチオ・フルチの映画がダブってしまったので末期。
ぼくはフルチの映画は大好きですからこれも面白かったです。『墓地裏の家』なんかとはセットの質感がよく似てますよね! ね…?

あと怖かったです。雪女の後ろ姿とか。振り返ると怖くないがふっと現れた永遠とも思える一瞬の怖さ。異様なフォルムと異様な音、異様な間。
怪異が現れるまでをじっとりと間を取って演出するのはもしかするとJホラーの先駆けかもしれない。
だから「耳無し芳一」も壇ノ浦の戦いを長過ぎるくらいに描くし、そうして死の運命に囚われていく姿は確かにゾッとさせられるものがあるのだ。

個人的ベスト怖いは廃墟で狂う三國連太郎。『卑弥呼』でも狂っていたから時代劇の世界に入ると三國は狂う。
そのエピソード、『黒髪』がそんなお話であったように、死んだものに対する恐怖と死んだものと同化することの安らぎが同居する、お化けよりもそうした死の両義的な捉え方が現代の目にはたいそう恐ろしく映ったし、そこがまたフルチっぽさの所以でもあった(まだ言う)
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