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緑の光線のpikaのレビュー・感想・評価

緑の光線(1986年製作の映画)
5.0
主人公の年齢設定がいくつなのかが非常に気になるが、十うん年前の自分を見てるようで居心地が悪すぎて笑えてくる。
さすがに映画なので誇張はあるだろうとは言え、主人公に対面する人物たちの反応に既視感があり過ぎて笑える。
こんな昔のフォトアルバム引っ張り出してきたような映画なんて耐えられん!と思う感情と、ラストの感動含めこの映画の存在に心の底から感謝したくなる感情のせめぎ合い。

人間の心理を一括りにするのはよくないが、フランス人は自己主張して謝らないタイプの国民性(文化?)があると聞いて見ると少し安心して見れると言うか、日本人の感覚で見るとヒヤヒヤして心臓が保たない。
主人公のイタさ、めんどくささに冷や汗でビショビショ。。
若かったら黒歴史となり得るかもしれない、いやこれは映画的な誇張ではなく若くないから拗らせすぎてこんなんなっちまったのかも、、、なんて何日経ってもグルグルグルグル自問自答。この映画は一体なんなのだ、「たかが映画じゃないか」を飛び越える反面教師的自己啓発映画か。

フランス人だからバカンスへの想いが強いってのも、日本人でも誕生日だのクリスマスだの花見に祭りに海に紅葉に年末年始にと、よりどりみどりのイベントが日々追いかけてきて、リア充のキャッキャウフフをジト目で見てても置いていかれてしまっている焦燥感があるから異国ごとじゃないし、一つ一つの痛さやズレに対して擁護めいた言い訳をしたくなる、、のは共感性ゆえか、つらい。

人を羨んで泣いてるのは将棋の駒で囲碁の大会に出るようなものだからもっと自分の本能に合う人と生活を、なんて酒飲みながら肩を抱いて共にむせび泣いてみたくなるような、あれこれと身につまされて考えこまされる、映画とはとても思えぬ距離にまで近づいてくる傑作だった。
これは映画なのか、、?デルフィーヌに出会って彼女の話を朝まで飲みながら聞いた記憶なんじゃないか?などと混乱しかねないくらい凄い。ロメールわけわからん凄さ。
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