Dana

二十四の瞳のDanaのネタバレレビュー・内容・結末

二十四の瞳(1954年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

戦争の中での教師という仕事が、いかに悲しい職業か。我が子のように生徒の幸せを祈り、同時に国のために死ぬ兵隊として教育しなければいけない。戦死して欲しくないといえばアカだと言われ、戦争が終われば教え子は墓の下。家が借金で潰れる子、貧しく学校を辞めて働く子、母親と幼き妹を亡くす子、家業を継げと自分の夢を親に否定される子。教師としてしてあげられることの少なさ、そばで見ていながら何もできない己の無力さを痛感する。

「自分ばっかりが不幸だなんて思わないで」というセリフはよくある決まり文句ですが、どうもこちらが責められているような気がして好きではありません。
不幸な人間が自分が不幸だと思って何が悪いのか、たとえ実際にそうでなかったとしても自分が一番不幸な人間だと思ってしまっている人に対してあなた以外にあなたより不幸な人はいっぱいいるよと言うのは果たして本当に正しいのかと思ってしまいます。
自分以外の人間が自分と同じくらい、また自分以上に不幸だと知ることでしか自分を慰めることはできないのでしょうか?
この映画では「元気を出してちょうだい」というセリフが続きます。病気で親にも突き放され、床に伏せていた彼女は先生にそう言われてどう思ったのでしょうか?

『この世界の片隅に』がそうであったようにこの映画も、戦場を描かない戦争映画です。戦時中の教育現場の様子、子供が戦争に行くようになるまでの過程、戦争の影響で変わりゆく生活。

先生の娘が病院に担ぎ込まれ、そのまま娘は死に、墓の前でその訳が語られる。
「あんな青い柿握ってな…」
このシーンは終わっても尚人々を苦しめる戦争の無情さと残酷さが感じられるシーンでした。

内容に関しては上手くまとめるのが難しいけど、それ以外だと撮影と音楽が良かった(特に母親が死んだ時のシーンが印象的)
Dana

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