Mikiyoshi1986

ロバと王女のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

ロバと王女(1970年製作の映画)
4.1
2月24日はヌーヴェルヴァーグからハリウッド大作まで多岐に渡り、20世紀後半の名作に数々の素晴らしい旋律を吹き込んできた作曲家ミシェル・ルグランの85歳のお誕生日です。

フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴ、そして監督ジャック・ドゥミと共に「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」という名作を手掛けてきた彼ですが、
その三つ巴の才能が再び結集し、フランスの古典童話を換骨奪胎させた異色メルヘンファンタジー!

原作となる「ロバの皮」は元々「シンデレラ」や「眠れる森の美女」の作者でもあるシャルル・ぺローの作品であり、そのアプローチはまさに両方を兼ね備えたストーリーですが、
そこにドゥミならではの現代的な手法を取り入れたミスマッチさがこれまた良い味を出しています。

逆再生やスローモーション、ジャンプカット等の映像編集を多用し、
チープなセットの中に豪華な小道具などを配置させた愛らしさも魅力のひとつだし、
青、緑、赤、白など、舞台に応じて象徴された色彩が楽しめるもの実にドゥミらしい趣向。

「再婚相手は私以上の美女を…」なる王妃の遺言を頑なに守る陛下は、よりによって実の娘である王女に求婚を…。
父との結婚をなんとしても回避したい王女は、果たして本当の愛を見つけることができるのか!?
シンデレラと同様、国中の女性に指輪をはめさせるくだりはベタながら好きです。

ザ・名作ミュージカル!な「シェルブール~」&「ロシュフォール~」と比べると若干影に隠れた存在ではあるものの、
ルグランの仕事は相変わらず超一流。
作品と監督の意図を完全に理解しきった上で書き上げたスコアは、絶妙なほど物語の流れに棹を差してくれます。
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