もっちゃん

ヒミズのもっちゃんのレビュー・感想・評価

ヒミズ(2011年製作の映画)
5.0
2回目の鑑賞。何度見てもズシンと胸に感じるものがある。ただ一回目の時よりも震災の取り入れ方にちょっと違和感を感じた。この作品で震災をわざわざ脚本書き直してまで入れる必要があったのか?と。作品の中に込められた絶望感を観客が共感できるようにするためのメタファーとして用いたのならあまりその役目は果たさなかったかなと今になっては思う。
この作品はそれを使わなくても十分に絶望感を伝えることができたはずだ。作品を通して流れる単調なリズムの音楽や重低音のノイズみたいな音などはその雰囲気を効果的に表していた。
また何と言っても主演の二人がすごい!染谷将太の生気のない目とかもう最高にいい!二階堂ふみも傷つきながらも明るく振る舞う茶沢さんの演技見事です!これほどの役者を育て上げただけでも園監督は偉業を成し遂げたと言っていいでしょう!
ラストは原作とは全く異なる形で締めくくっていたが、こっちの方が確かに世間一般にはいいかなとは思う。土手の上を走るシーンは確かに感動する。しかし、私的にはやっぱ原作の終わり方の方が好きだった。夢のない映画はウケないけど、絶望を描いた作品は最後まで絶望的であってほしかった。