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ガス燈のDuckfeetのレビュー・感想・評価

ガス燈(1944年製作の映画)
3.2
妻をジワジワと精神的に追い詰めて自分に依存させ、誰とも接触させないようにする元祖モラハラ夫のサスペンス。

心理的虐待を意味する「ガスライティング」の語源となった映画としても一見の価値あり。

ニコニコして彼女の頭をポンポンしながら「おまえってホントバカだよなあ」「俺に任せておけば大丈夫」などという彼氏を「バカな私を守ってくれる優しい彼」と思っているそこの彼女!そういう彼氏はアブナイですよ!

育ての親である叔母を殺され、単身イタリアで歌手を目指して暮らしていたポーラに、ピアニストの恋人ができた。出会ってたった2週間での結婚を迷うポーラに考えるスキを与えずに結婚に持ち込んだ夫。

叔母が殺された家にはもう住むことはないと思っていたのに夫の希望でその家を新居とし、夫の雇った耳の遠い家政婦と若くて意地の悪いメイドと暮らすことになったポーラ。優しい夫となら叔母の殺されたこの家に暮らしても怖くないと思っていたのに。

ある日夫は母の形見のブローチをプレゼントしてくれるが、ピンが壊れているので君のバッグに入れておいて後で修理に出そうと言う夫。外出先でバッグの中にあったはずのブローチがないことに気づき慌てるポーラ。夫から最近物忘れが多いと言われたばかりなのに。

家の壁にかかっていた絵がないことを夫に責められる。早く元に戻しなさいと怒られるが全く身に覚えがない。早く取ってきなさいと言われて上った階段の踊り場に絵があるのを見つけて手に取ると「ほらちゃんとどこにあるか知っていたじゃないか。もう2回目だ、いい加減にしなさい」と言われる。

自分の頭がおかしくなっていると思い、混乱して取り乱すポーラ。しかし叔母の事件を知る刑事が叔母とそっくりな彼女を見かけて気にかけるようになり、夫の身辺を調べ始めて...。

ウワサ好きの近所のおばさんやイケメン刑事がサスペンスを緩和してちょうどいい塩梅に仕上げています。
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