takato

Mのtakatoのレビュー・感想・評価

M(1931年製作の映画)
4.7


 名作は時代を超えるなぁ~、と「十二人の怒れる男」以来ここまで痛感させられた作品はない。序盤は不気味な犯人の影に怯える物語だったのが、犯罪者組合たちの活躍という中盤の展開を経て、終盤には追い詰められる犯人の物語へとシフトしていくという構成が凄い。さらに、犯人を演じるペーター・ローレの狂気と、同時に内なる衝動に追い回される小物な男を同時に説得力もって演じている怪演ぶりは恐ろしいほど。終盤の地下室での裁判シーンは圧巻。群衆意識に対する監督の恐怖のような物が感じられたのは、当時の時代性が背景にあるのかもしれない。
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