パン

ヨーロッパのパンのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ(1991年製作の映画)
4.8
トリアー監督初期の大傑作。
やっぱトリアーは本物の天才だと改めて認識した。 

第二次世界大戦後のドイツが舞台。お上品な作風。 
導入部分のセリフから催眠術っぽくて好き! 
あのカウントダウンね。
この劇中に時々入る狂言回しの声が一々良いんだよな。 
これがあるのとないのでは映画の質が全然違ってくると思う。

あとモノクロとカラーの使い分けだったり、映像の切り抜き方とかが天才的で洒落てた。
電話してる時に相手の顔がドアップで映り込むのとか凄い発想だなあ。
人狼と書かれたパルチザンの遺体が吊るされてるシーンはショッキングだった。

列車内の灯りが点滅するシーンはなんかBGMも相まってロマンチックだ。 
鉄道模型をバックにヒロインのカタリナが自分の正体告白するシーンも良すぎる。
「人狼は夜の間だけオオカミになるの」


結局愛のためじゃなくて自らのエゴのためにスイッチを…
いや、愛自体が最初から己のエゴの1種みたいなものか。
何とも皮肉で完成度の高いストーリーだった。
あと「1秒間の無限の停止」って表現気に入ってる   

ラストも芸術性高くて物凄く良い。
俺もいつか川底に安らぎを見つけたい。
パン

パン