スガシュウヘイ

秒速5センチメートルのスガシュウヘイのネタバレレビュー・内容・結末

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

(2016年8月のレビュー)

小学校卒業と同時に転校。以来、思いあいながらも出会う事のできなかった二人の男女。

ハッピーエンドで終わってくれー!、と願いつつ、鑑賞した第3話。

踏切のむこう、
電車が通り過ぎた時、

そこに彼女の姿はなかった。


あーなんて悲しいのだろう。それだけに、非常に心に残る。風景が美しければ美しいほど、悲しくなるのだ。
あんなにドラマチックにファーストキスをして以来、二度と会えないんて。
すごいぞ!これぞ究極の失恋だ!


実際にはほとんどありえないような、ドラマチック&メランコリックなこの物語に入りこんでしまうのは、なぜか。キャンパスノートやファミリーマート、G-shockの時計や、駅の電光掲示板など、非常に具体的な描写があるからだろうか?

風景が夢のように美しくても、そこにあえて現実の企業ロゴなんかを付け加えることで、現実感が出てくるのかもしれない。


第3話は、ほとんどセリフがなく、山崎まさよしの『One more time,One more chance』のみという大胆な構成。賛否はあると思いますが、こういう思い切った演出、私は結構好きです。


余談ですが、今の中学生はみんなスマホを持ってますので、雪で電車が動かなくなったら、
「ごめーん、雪で電車止まって遅れそう。悪いから先帰ってていいよ」なんてLINEで送れちゃうので、便利な反面、ドラマが生まれないんですよね。

電車の中で泣き出しそうになった主人公を、弱虫だの否定する声もありますが、携帯のない時代を生きた人にしかわからない、相手に連絡できない不安感は、ホントに泣きたくなる時がありますよ。若い人にはそれをわかってほしいですね。
というか、そもそも転校したところで、スマホで連絡が取りあえるし、テレビ通話もできるから、本作のような事態になることは少なくなった。

現代は便利すぎて、面白くないのである。


製作:2007年(日)
監督:新海誠