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秒速5センチメートルのmoekoのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.5
すずめの戸締り公開記念に過去作再鑑賞。
3つの短編アニメからなる作品。転校先の小学校で仲良くなった貴樹と明里。生活を共にした小学校時代と、引っ越しをきっかけに手紙でやり取りするようになった中学時代、2人の間に段々と距離ができてきた高校時代、そして、大人になった彼らが描かれます。
台詞の半分は貴樹の語り。そこに新海誠が描く素晴らしい風景が映し出され、まるで美術館で詩の朗読を聴いているような気分になります。更に山崎まさよしの One more time, One more chance が流れて、とても良い空気感に仕上がっていました。ただ映画というよりは芸術作品のようで、お気に入りの作品です。
君の名は、天気の子に引き続きこの作品を再鑑賞。2作品とは異なり大人のストーリーです。お互いの存在がどこか頭の片隅にありながらも時間が過ぎて行き、いつの間にか別々の人生を歩き出す様は、本当にリアル。ファンタジーの欠片もありません。キラキラした青春ファンタジーも良かったけど、現実を突きつけてくる本作も良いなと思いました。また、短い時間の中に上手くまとめられていて、何かが削ぎ落とされていると言うよりは寧ろ奥深い仕上がりになっていました。短尺の作品だからこそグッとくるものがあったと思います。良作です。
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