TAK44マグナム

ウォードッグのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ウォードッグ(1987年製作の映画)
2.0
完璧な殺人マシーン軍団!
・・・は?


80年代後半、かの有名な銃器メーカーであるワルサー社(そう、ルパン三世の愛銃P38を作ったところです)が製作協力をしている!という、ミリタリーおたくなら泣いて喜びそうな宣伝文句を引っさげて日本上陸をひっそりと果たした問題作!

どこらへんが問題作なのかというと、ワルサー社はワルサー社でも、全然銃器メーカーとは関係ないワルサー社が製作していて、つまりは宣伝文句は誤りというか嘘っぱちなわけですな!
当時存在していた、あるゆる嘘をついてでもB級映画を知られざる大作にしてしまう配給会社マウントライトコーポレーションが手掛けた案件なので既定路線なんですけれどね。
大袈裟なキャッチコピーとかも当然、誇大広告も良いところでして、そこらへんからしてトンデモ臭しか漂ってこないスウェーデン産のコンバットバトルアクションの小品であります。
銃器に詳しい人はみんな言ってましたが、劇中にワルサー製の銃器は全く出てきません(苦笑)


主人公は元ベトナム従軍兵。
弟もベトナムで戦っていましたが行方不明になり、やがて死亡通知が届きますが遺体は無し。
不審に思う主人公が調べていると、行方が分からなくなっている従軍兵の事件を追っている男が接触してきます。
男の持っていたビデオテープに弟が映っているのを確認した主人公は、奥さんが止めるのも聞かずにライフルを持って、どうやら弟が隔離されているらしい施設に潜入します。
そこは、スペイセクという元上官が、麻薬を使って兵士たちを洗脳強化、完全無欠の最強特殊部隊をつくっている実験施設だったのです。
潜入はしたものの簡単に捕まってしまう主人公。
しかし、少し頭が元に戻った弟に助けられ、2人で施設を脱出!
追ってくる数十人の「ウォードッグ 」たち!
はたして、最強無比の殺人マシーンたちから逃れられるのか?!


何よりもまず、主人公の風貌がいただけませんなぁ。
腹の出た、そこらへんに普通にいるお父さんでしょ、この人。
特殊部隊を血祭りにあげるような戦士には到底見えず、バトルシーンの説得力が全く無い!
主人公補正で被弾しないのも、シュワちゃんやスタローンぐらいにならないとダメでしょ。
あれだけ撃たれたら当たるはず。
それか、特殊部隊の射撃がザルなのか。最強なのに?
射撃訓練が足りてないぞ!
弟の方はまだマシですが、この兄弟が無双できるって、どんだけ特殊部隊が弱っちいんだよ!
冒頭こそ、子供だろうが老人だろうが容赦なくズダボロにしてしまう冷酷非情な殺人マシーンに見えなくもなかったサングラス軍団(←ターミネーターを意識?)だったのに、特撮番組の戦闘員なみの弱さに涙がでそう。

バトルシーンも、80年代なので仕方ないところもありますが西部警察と同じぐらいのクオリティ。
テレビドラマならそれなりの迫力も、映画として観たら実にショッパい。
やたらめったら手榴弾に頼るのも何だかなぁ・・・
これじゃ銃撃戦じゃなくて手榴弾の投げ合いだよ!

最後の方になると、いきなり雰囲気がホラーになるし、救いのないラストに気が滅入ります。
主人公の息子ちゃんが可愛く、驚いた表情が最高だったのだけがめっけもん。

・・・結局、この映画は何がしたかったのか。
社会派きどりはどうでもよいから、もっとドンパチに力をいれないと!
特殊部隊なりの動きとか、リアルな描写を心がけて欲しかった。

そうそう、最後にひとつ。
主人公の家族がいるのに平気で銃弾の雨あられを撃ちこんでくる警察ってどうなのよ(汗)?
とても市民を守っているようには見えません。
警察が一番怖い!


レンタルビデオ、アマゾンプライムビデオにて
※アマゾンでもVHS画質です

※他のレビュアーさんが間違えてますが、本作にはジョナ・ヒルもマイルズ・テラーもブラッドリー・クーパーもアナ・デ・アルマスも出てきません。
いや、アナ嬢には出てて欲しかったですが、下手したら、まだ生まれてないんじゃないの(汗)